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企業資産の有効活用方法

インターネット掲示板被害への対処法

動産売買の先取特権

熊本県弁護士会所属 桜樹法律事務所

熊本城から宇土櫓を臨む

 

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企業資産の有効活用方法平成18年4月号掲載

Q:当社の保有する不動産や売掛債権を有効活用する方法を考 えています。最近、「資産の流動化・証券化」という言葉を よく耳にしますが、この制度を利用することでどのようなメ リットがあるのでしょうか。

A:企業の資金調達手段の一つとして、近時、資産の流動化・証券化が注目されています。資産の流動化とは、資産自体のキャッシュフローや、資産を集合化することで新たに生み出されるキャッシュフローに着目して、ファイナンスやオフバランス化といった一定の目的を達成する手法のことです。また、証券化とは、この流動性の付与された資産を資本市場につなぐ仕組みのことをいいますが、狭義では、資本市場からの投資家の参加形態が証券取引法上の有価証券によるものを指します。 

 流動化・証券化の対象となりうる資産は、貸付債権や売掛金などの金銭債権、賃貸ビルなどのみならず、企業本社ビル、大型ショッピングセンター、工場、駐車場、知的財産権など、キャッシュフローを生み出す資産である限り多種多様です。

 資産の流動化・証券化で原資産保有者(オリジネーター)には、@企業自体の信用力に依存しない、資産そのもののキャッシュフローと安全性に着目した資金調達が可能となるために資金調達手段が多様化するA対象資産の信用リスクに見合う金利での資金調達となるために収益性が高くリスクが低い資産の場合コーポレートローンよりも低コストでの資金調達が可能となるB対象資産のバランスシートからの切り離し(オフバランス化)を通じて有利子負債を減少させることで総資産利益率や自己資本比率などの財務指標を改善させ財務体質の強化を図ることが可能となるなどのメリットがあります。むろん、広く投資家から資金を調達していくためには投資市場の成熟が不可欠ですし、スキームが確立していない場合は真正売買性や倒産隔離などの法的観点や税務上・会計上の観点からの問題点なども生じてきますが、今後、証券化法制その他の制度基盤が整備されていくことで更なる市場の活性化が期待されている分野ですので、企業資産の有効活用の一手段として検討されてみてはいかがでしょうか。

 資産の管理・運用方法の多様化・高度化が進む中で、経営者に求められるマネジメント能力も同様に多様化・高度化の一途を辿っています。このような趨(すう)勢にうまく対応していくためには専門家の適切なアドバイスによりリスクヘッジを図ることも重要です。

★キーワード「流動化・証券化による企業資産の有効活用」

企業資産の有効活用を図る手段としては資産の証券化・流動化も選 択肢の一つです。財務体質の強化手段ともなりえます。

インターネット掲示板被害への対処法平成19年1月号掲載

Q:最近、ホームページの掲示板で当社や当社関係者を誹謗・中傷する内容の書き込みがなされていることを知りました。匿名掲示板のため、誰が書き込みをしたのが不明です。被害が拡大しないようにしたいのですが、どう対処すれば良いのでしょうか。

A:インターネット上で他人の名誉・信用を毀(き)損したり、他人を侮辱する書き込みを行った場合、民事上は不法行為による損害賠償責任が、刑事上は名誉毀損罪、信用毀損罪や侮辱罪などが成立し得ます。

 ただ、インターネット上でこのような場合が行われた場合、情報発信者の匿名性の観点から、被害拡大を防止するためには慎重な対応が必要です。

 まずは誹謗・中傷の書き込みした内容を書き込みした形とデータの形で保存しておきます。そして、第一に考えられるのは、掲示板の管理者や掲示板を運営しているプロバイダー等に当該情報の削除を依頼するということですが、ここで注意すべきは、掲示板の管理者の中には、法人に関する記載については原則として削除に応じない、削除依頼の内容自体もインターネット上で公開する、裁判をする前提であれば証拠保全のため削除に応じないなどの方針をとっているところがあり、このような場合には削除依頼そのものが二次被害を誘因する恐れがあるということです。誹謗・中傷の内容と掲示板の運営方針を十分に検討し、メールなどで削除依頼をすることが藪(やぶ)蛇となってしまうかどうかを見極めることが大切です。 よって、誹謗・中傷の内容次第ですが、会社経営上、影響が少ないと判断できる場合は当該書き込みを放置しておくというのが最善の方法となることもあるのです。

 ただ、悪質な場合に被害者が泣き寝入りをしなければならないなどということが許されてはなりません。悪質な内容の場合は、内容証明郵便などの方法で掲示板の管理者などに当該情報の削除依頼をして被害の拡大を防止する措置を速やかにとる必要がありますし、管理者などがこれに応じない場合は仮処分や損害賠償請求などの裁判も検討しなければなりません。

 また、当該情報の発信者に対する対応としては、管理者などに発言情報を開示してもらうように請求する手続きや、警察署への被害深刻、刑事告訴などを検討すべきです。

★キーワード「被害の拡大防止、二次被害の防止が第一」

インターネット上の誹謗中傷被害に対して対処法を誤ると逆に被害が拡大してしまう恐れがあります。誹謗中傷の内容を見極めて、迅速かつ適切な対処法をとるようにしましょう。

動産売買の先取特権平成19年9月号掲載

Q:当社は、取引先に商品を納品したのですが、約束の支払日に代金の支払いもなく、取引先の資金練りは相当苦しいようです。近々取引先は破産手続きを行うなどの噂も流れています。どのような対処法があるのでしょうか。

A:抵当権などの担保権を確保している場合や、取引先に対して反対債権を負担している場合は、たとえ取引先について破産や民事再生などの倒産手続きがとられたときでも回収を見込めるケースが出てきますが、商業取引においてこれら担保権や相殺権を常に確保しているとは限りません。
  このような場合、まずは納入した商品を引き揚げることが考えられますが、自力救済は禁止されていますので、引き揚げに際して取引先の代表者や責任者から承諾を得ておくことが必要です。後日の紛争を避けるためにも承諾書や確認書などの書面を取り付けておくといいでしょう。
  商品の引き揚げができない場合でも、動産売買の先取特権を行使して債権回収を図る方法があります。動産の売り主は当該動産の対価と利息について、当該動産から他の債権者に優先して弁済を受けられる権利を有しており、これを動産売買の先取特権といいます。民法上認められた法定の担保権でずので、事前に担保権設定の契約を締結していなくても発生します。たとえ取引先が破産、民事再生などの法的手続きをとろうとした場合でも優先権が認められていますので、条件さえ揃えば債権回収に有力な権利といえます。
  この権利行使を現実化するには、当該動産が取引先の占有下にある間に、または取引先の転売先が転売代金を支払うまでに、証拠書類を揃えて当該動産、または転売代金債権に対して裁判所の差押決定を得なければなりません。証拠書類としては、当該動産が取引先の占有下にある場合は、取引先との間の売買契約書、注文書、納品書などの担保権の存在を証明する文書が、また当該動 産が取引先から転売された場合はこれらの文書に加えて、取引先と転売先との間の転売代金債権の存在を証する売買契約書などの文書も必要となってきま。よって、転売された場合は転売先の協力が不可欠ですし、いずれの場合も取引先との間で日頃から対象商品を特定できるような契約書類を取り交していなければなりません。このように動産売買先取特権は、商品の所在情報の確保や証明文書の入手などの条件が揃えば強力な債権回収手段となり得ます。

★キーワード「契約書類などの日頃の管理が重要」

動産売買先取特権は、取引先倒産時に迅連に対応すれば有力な債権回収手段となり得ます。但し、売却した商品の所在情報などの取引先に関する情報や、特定の商品を売却したことを証明する文書などが必要となってきますので、日頃からこれらを適切に管理しておかなければ権利行使することは困難となります。