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株主優待制度

北野 誠| 2014年 11月号掲載

 当社は株式会社ですが、株式の販促及び既存株主の維持のために、新たに株主優待制度を設けようと考えています。株主優待制度導入にあたり、何か問題点や気を付けるべき点はありますか? 

 株主優待制度とは、株式会社が、一定数の株式を権利確定日において保有していた株主に対して与える優待制度のことをいいます。株主優待制度には、個人株主や安定株主の創出や企業の顧客を増やすなどのメリットがあります。

 しかしながら、一定数以上の株主に何らかの優待をすることは、株主平等原則(会社法109条1項)に反しないかという点が問題となります。株主平等原則は、株式の内容及び「数に応じて」平等に取り扱わなければならないため、持ち株数に比例してではなく、一定数以上の株主とすると厳密な意味での平等とは言えなくなるからです。
 この点、株主優待制度については、合理的な取り扱いであれば、株主平等原則に反しないと考えられています。
 合理的な取り扱いかどうかは、当該株主優待制度の具体的な内容によるところになりますが、個人株主や安定株主を創出する目的で、一定数以上の株主に対し、一定限度の優待(自社商品の割引券やサービス券などの配布)をすることは、株主平等原則には反しないと考えられています。

 なお、同じ持ち株数の株主を別異に取り扱ったり、株主の個性に着目して別異に取り扱ったりする場合には、株主平等原則に反し、無効となり得ますので、ご注意ください。
 次に、会社の資産を株主に交付するような株主優待制度については、現物配当(同法453条以下)や財源規制(同法461条)に服する配当規制に服する可能性もあるため注意が必要です。
 現在一般的に行われているような株主優待制度は、個人株主作りや自社製品・サービスの宣伝を目的として少額の分配をするに過ぎないため、株主に対する配当の性格は認められないと考えられます。また、例えば、鉄道会社の無料乗車券や自社で扱うサービスや商品の割引券などを配布する行為は、会社は債務を負担するのみで、会社財産の流出とはいえないため、原則として配当規制の対象とならないと考えられます。

 しかしながら、上記のような目的を超え、株主優待制度の名の下に、多額の会社財産を払い戻すような行為は実質的には現物配当として配当規制に服する場合もあり、また、金券ショップで容易に換金できる優待券などは実質的には財産を分配するものと評価される可能性もあります。

 したがって、株主優待制度を導入する場合には、株式の販促、株主の維持などの合理的な目的の下に、実質的には会社財産の流出と評価されないような制度を創設する必要があります。

「現物配当」

現物配当とは、会社が金銭以外の財産を株主に対して配当することをいいます。旧商法下では、現物配当に関する明文の規定がありませんでしたが、会社法では明文規定を置き、手続・要件等を規定しています。現物配当を行うためには、株式会社は、株主総会の特別決議により、配当財産の種類、帳簿価額の総額などを定めなければなりません。

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桜樹法律事務所の企業法務

熊本市出身、昭和55年生まれ。
済々黌高校-九州大学法学部卒。2003年司法試験合格。2005年弁護士登録。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員。日本司法支援センター熊本地方事務局地方扶助審査副委員長。日本プロ野球選手会公認選手代理人。熊本県弁護士会野球部主将。

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