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「パート社員の定年」

塚本 侃| 2006年 11月号掲載

 当社では、パート社員用の就業規則には雇用期間の定めがあるということで、定年制の定めを設けておりませんが、問題ありませんか。

 正社員用の就業規則では60歳定年制が定められいますが、パート社員用の就業規則では「雇用期間の定め」があるということで定年制が定められていない場合に、パート社員の雇用期間の定めが効力を失った時にはパート社員の定年はどの様に考えればいいのでしょうか。

 まず、パート社員との雇用契約を反復更新しているときは、それだけで当然に雇用期間の定めが効力を失い、「期間の定めのない契約」に転化(変化)して、雇用期間の点で正社員と同じように扱われるというものではないということに注意して下さい。あくまで、「期間の定めのない契約」に転化(変化)するのは、パート社員が契約更新について相当程度に合理的な期待を持ち、会社の方で更新を拒絶することに正当な理由がない場合でなければなりません。従いまして、契約更新の都度、会社とパート社員の間ではっきり意思を確認し、契約期間を明確に定めた契約書に記名・押印するなど、適切な手続を経ていれば、「期間の定めのない契約」に転化(変化)することはありません。この場合には雇用期間の定めは有効なものとして、期間満了による雇い止めは認められますので、パート社員の定年という問題は生じません。

 しかし、その様な手続を経ていない場合には、「期間の定めのない契約」に転化していると考えられ、期間満了による雇い止めは認められないことになります。しかも、パート社員用の就業規則では定年制は定められていないので、この場合にはパート社員の定年をどう考えるかという問題が生じてきます。正社員の就業規則を適用できるかどうかという問題になるのですが、この点につきましては、正社員の定年制が直ちにパートに適用されるものではないが、正社員の定年が60歳で、当然には再雇用が認められないことを考慮すれば、パート社員について60歳まで契約更新の蓋然性は認められるものの、それ以上の契約存続の蓋然性は認められないとして実質的に正社員の就業規則の適用を認めた判例が見受けられます。

 しかし、実務的には、パート社員の定年も明確に定めておくべきです。

「パート社員の雇用期間と正社員の定年制」

正社員と同じに扱われるとすれば、正社員の定年までしか契約更新は認められず、実質的には正社員の定年制が適用されます。

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桜樹法律事務所の企業法務

昭和22年生まれ。
熊本高校-中央大学法学部卒。昭和56年弁護士登録。平成15年熊本県弁護士会会長を務めたほか、日本弁護士連合会、九州弁護士会連合会で要職を歴任。熊本県収用委員会会長。

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