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使用者には実際の労働時間を把握・管理する義務があります。

塚本 侃| 2012年 7月号掲載

 労働時間を把握するためにはタイムレコーダーが必要ですか。それともそれ以外の方法でも良いですか。また、タイムレコーダーを使用している場合に、社員が打刻を忘れた場合は欠勤にして良いですか。

 本来、使用者には労働時間を把握して算定し、それを記帳する義務があります。この労働時間数等については、タイムレコーダーを利用しているケースが多いのですが、法律上は使用者にタイムレコーダーの使用が義務付けられているわけではありません。出勤簿への記入、管理者や守衛さんによる社員毎の出勤状況や労働時間のチェック、あるいは社員自身による営業日誌、運転日誌、時間記録表等を利用しての記録等でもかまいません。

 しかし、このような労働時間等の記録は、労使間の無用の争いを避けたり、使用者が法律を守っているかどうか労働基準監督官が監督するにあたっての手がかりとなるので、正確性と公平性が求められます。
そこで、厚生労働省では「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を定め
①始・終業時間の確認及び記録
②その記録方法として、使用者の現認やタイムカード、ICカード等の客観的な方法によることを行政指導しています。

 ちなみに、タイムレコーダーを採用している会社では、当初はタイムレコーダーの打刻時点を基に、労働時間を算定していましたが、最近では実際の業務の開始時刻を起算点とする会社が多くなっています。

 では、タイムレコーダーを打ち忘れて、タイムカードの上では欠勤となっている場合はどうなるのでしょうか。本来出勤した証拠として必ず打刻するとされているのですから、正当な理由もないのに打ち忘れたのはその社員が悪いのであって、しかも、多数の社員を抱える会社で、タイムカードと実際の出勤情況を確かめて個々の社員の労働時間を管理することは大変なので、欠勤扱いもやむを得ないと考えることもできそうです。しかし、労働時間の把握・算定というのは、元々使用者に義務があるので、社員がタイムレコーダーを打刻しているか否かに関係なく、使用者は社員の労働時間の把握・算定を行わなければなりません。従って、この社員はタイムレコーダーの打刻という基本的な義務を怠っているのですが、労働していることは否定できません。ただ、この社員は職場の規律に違反したということで、懲戒処分の対象にはなります。

「使用者による労働時間の把握・算定方法」

正確性と公平性が認められれば労働時間の把握・算定は、この方法でなければということはありません。例えばタイムレコーダーの打刻を忘れても、働いた事実は間違いないので、懲戒処分の対象とはなっても、働いた時間が社員の労働時間です。

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桜樹法律事務所の企業法務

昭和22年生まれ。
熊本高校-中央大学法学部卒。昭和56年弁護士登録。平成15年熊本県弁護士会会長を務めたほか、日本弁護士連合会、九州弁護士会連合会で要職を歴任。熊本県収用委員会会長。

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