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高年齢者雇用安定法の改正

塚本 侃| 2013年 1月号掲載

 継続雇用制度を導入する場合に、①その対象者は、②その場合の労働条件の変更の可能性は、③労働者との間で労働条件が合意できない場合の取扱は、④ある年齢に達したときから更新しないと定めて有期雇用をしている場合に、その有期雇用労働者を対象にした継続雇用制度を定める必要があるのか、それぞれどう考えればいいのですか。

 今回、高年齢者雇用安定法の改正法が制定されましたが、改正法によれば定年を引き上げない以上継続雇用制度を導入しなければなりません。

 しかし、高齢者雇用安定法は、事業主に定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等を行うことを義務付けているもので、個別の労働者を65歳までの雇用することを義務付けるものではありません。ですから、継続雇用制度を導入していない企業が60歳定年で労働者に辞めてもらっても、直ちに無効となるものではありません。あくまで高齢者雇用安定法違反の問題が生じるだけです。

 次に継続雇用制度を導入するとした場合、希望者全員を対象にしなければなりません。ただし、平成25年3月31日(改正高年齢者雇用安定法の施行時期)までに、労使協定により継続雇用の対象者を限定する基準を定めていた場合には、平成25年4月1日から同28年3月31日までは61歳以上の人に、同28年4月1日から同31年3月31日までは62歳以上の人に、同31年4月1日から同34年3月31日までは63歳以上の人に、同34年4月1日から同37年3月31日までは64歳以上の人には、対象者を限定した基準を適用することが出来ます。

 では、タイムレコーダーを打ち忘れて、タイムカードの上では欠勤となっている場合はどうなるのでしょうか。本来出勤した証拠として必ず打刻するとされているのですから、正当な理由もないのに打ち忘れたのはその社員が悪いのであって、しかも、多数の社員を抱える会社で、タイムカードと実際の出勤情況を確かめて個々の社員の労働時間を管理することは大変なので、欠勤扱いもやむを得ないと考えることもできそうです。しかし、労働時間の把握・算定というのは、元々使用者に義務があるので、社員がタイムレコーダーを打刻しているか否かに関係なく、使用者は社員の労働時間の把握・算定を行わなければなりません。従って、この社員はタイムレコーダーの打刻という基本的な義務を怠っているのですが、労働していることは否定できません。ただ、この社員は職場の規律に違反したということで、懲戒処分の対象にはなります。

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桜樹法律事務所の企業法務

昭和22年生まれ。
熊本高校-中央大学法学部卒。昭和56年弁護士登録。平成15年熊本県弁護士会会長を務めたほか、日本弁護士連合会、九州弁護士会連合会で要職を歴任。熊本県収用委員会会長。

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