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震災の復旧・復興からの暴力団排除

北野 誠| 2016年 10月号掲載

 当社は熊本県内で建設業を営んでおります。今回の熊本地震の復旧・復興事業について、当社も建設業者として協力したいと考えております。震災からの復旧・復興工事を行うにあたり、暴力団排除の観点から気を付つけるべきことはありますか?

 熊本地震より約半年が経過し、少しずつ震災からの復旧・復興が進められようとしております。しかしながら、震災の復旧・復興事業には、官民を問わず、長期に渡り多額の資金が投入されることから、暴力団関係者が各種事業に介入して、違法行為を敢行したり、資金獲得活動を行ったりするおそれがあります。

 先の東日本大震災においても、暴力団関係者が、事業組合やボランティア団体等を名乗り、復旧・復興事業に関する作業員、車両等の手配や瓦礫処理への参入を企てたほか、被災県内の復旧・復興事業に対して暴力団が介入していたという実態が明らかになっています。

 また、東日本大震災においては、暴力団関係者が、仮設住宅建築工事や被災した店舗復旧工事に関して、派遣禁止業務である建設業務につき労働者を派遣し検挙された事例なども報告されています。

 このように、震災からの復旧・復興事業に関しては、復興需要市場の拡大に併せ、暴力団関係者の資金獲得活動の標的となりやすくなるため、暴力団の資金源を遮断し、事業の信頼性の向上を図るためにもその排除の徹底を図る必要があります。

 復旧・復興から暴力団を排除するための留意事項としては、以下の点に気をつける必要があります。

①契約書・約款に暴力団排除条項を盛り込む
 契約の際に、暴力団排除条項が盛り込まれた契約書・取引約款を用いること。契約書等に暴力団排除条項を盛り込むことで、暴力団等との契約を未然に防ぐことができますし、万一、暴力団等と気付かずに契約を締結してしまった場合でも、契約を解除することが容易になります。

②受注者による下請業者の把握
 受注者が下請業者(下請以外の個別契約も含む。)に暴力団関係者が参入していないか把握に努めるとともに、暴力団該当性が疑われる場合には、警察または暴力追放運動推進センターへ相談すること。

③不当要求を受けた際の対応策
 下請参入、作業員の受入、機材や資材の納入等暴力団関係者から不当な要求を受けた場合には、警察へ通報すること。不当要求に関しては、事業者において不当要求対応マニュアル等を作成し、従業員に対しても対応方法を徹底しておいたほうが良いでしょう。
 復旧・復興事業に関する民事介入暴力事案やその他民事介入暴力の疑いがある

 事案がありましたら、熊本県警察、熊本県暴力追放運動推進センター、熊本県弁護士会民事介入暴力委員会にご相談ください。

「熊本県暴力団排除条例」

熊本県暴力排除条例では、県が発注する公共工事の請負人である建設業者は、当該公共工事について暴力団員又は暴力団密接関係者との間で、下請契約や資財納入契約を締結してはならず、暴力団又は暴力団密接関係者と知りながら契約を締結した場合には、県が実施する入札に参加させないという処分を受けることがありますのでご注意ください。

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桜樹法律事務所の企業法務

1980年(昭和55年)9月24日生まれ。熊本市出身。済々黌高校-九州大学法学部卒。2003年司法試験合格。2005年弁護士登録。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員。日本司法支援センター熊本地方事務局地方扶助審査副委員長。日本プロ野球選手会公認選手代理人。熊本県弁護士会野球部主将。

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