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M&A手段としての合併制度の活用と戦略

北野 誠| 2007年 12月号掲載

 新会社法制定により組織再編が行いやすくなったと問き、当社(A社)も、他社(B社)との吸収合併を考えております。しかし、吸収合併後においても、当社の株主構成を変えたくありません。B社の株主が、合併後のA社の株主とならないような方法で合併を行うことはできないでしょうか?

 組織再編行為は、経営用語では「M&A」に当たります。M&Aとは、日本語では企業の合併・買収のことをいい、新規事業の参入、企業グループの再編、業務提携、経営が不振な企業の救済などを目的として行われます。

 最近では、大企業の合併が相次いでおり、M&Aは大企業が行うもと思われがちですが、中小企業の場合も多く、今後は後継者不在による企業の売却、既存事業の拡大や新規分野の進出、ベンチヤー企業統合などによる中小企業のM&Aも増えてくるものと思われます。

 旧商法下では、吸収合併における消滅会社の株主に対しては、存続会社の株式をその合併比率に応じて割り当てることが必須の要件とされていました。これに対し、新会社法では、吸収合併、吸収分割、株式交換に際して、従来の株式の交付に代えて金銭その他の財産を交付することを認めております。これが、「対価の柔軟化」と呼ばれるもので、新会社法の目玉とも言えるものです。

 この対価の柔軟化により、子会社が他会社を吸収合併する場合に親会社の株式を交付するいわゆる三角合併や吸収合併に際して合併対価として存続会社株式に代えて、現金等を交付する交付金合併(キャッシュ・アウト・マージャー)などのほか、対価の一部を金銭で、残りを他社の株式で交付するなど、企業の状況や組織再編の目的に応じて多様な組織再編を行うことができるようになりました。

 新会社法においては、合併対価として金銭のみを交付するいわゆるキャッシュ・アウト・マージャーが認められるため、A社における株主総会の特別決議を条件に、B社株主に対してA社株式の代わりに金銭を交付することができます。
 これにより、合併後のA社の株主構成を代えずにB社との吸収合併を行うことができることになります。

「M&A手段としての合併制度の活用と戦略」

新会社法制定に伴い、組織再編に関して、株式以外の財産を合併の対価とする交付金合併や三角合併が認められるようになり、合併等のM&Aにおける法的スキーム組成に際しての法的柔軟性が増し、M餌の手段として合併制度利用の利便性が高まりました。

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桜樹法律事務所の企業法務

1980年(昭和55年)9月24日生まれ。熊本市出身。済々黌高校-九州大学法学部卒。2003年司法試験合格。2005年弁護士登録。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員。日本司法支援センター熊本地方事務局地方扶助審査副委員長。日本プロ野球選手会公認選手代理人。熊本県弁護士会野球部主将。

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