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全部取得条項付種類株式

北野 誠| 2009年 5月号掲載

 当社は、普通株式のみを発行している非公開の株式会社です。この会社は、私が20数年前に設立したのですが、その際に知人数名に会社発起人の名義を借りて会社を起こしたため、現在その知人や相続人が名義上の株主として存在しています。私もそろそろ会社経営を子供に譲ろうと考えており、この機会に名義上の株主から株式の買取りをしたいと考えていますが可能でしょうか?

 この点、平成2年の商法改正以前については、会社設立の際に発起人が7人以上必要である旨定められており(現行法では1人でも可能)、また発起人は必ず株式の引受をしなければならないとされていたので、会社設立当初には7人以上の株主が必要でした。そのため、当時は名義だけの発起人、すなわち名義だけの株主が多く存在しており、また相続や譲渡により新たに名義上の株主から株式を取得した者がいる場合には、誰が真正の株主であるか名義上の株主であるか判断がつかず、その整理が困難となるケースが多く見受けられます。

 そこで、御社としては、まずこれらの名義上の株主に対し交渉により有償での株式の買取りを試みるという方法が考えられますが、この方法では名義上の株主が買取りに応じない場合には、任意での株式の買取りは困難を極めます。
 したがって、このような場合には、名義上の株主から強制的に株式を買い取る方法を検討する必要があります。

 この点、会社法では、種類株式を活用するという方法により、既存の株主を一旦排除し、目的とする株主構成を実現するスキームを設けています。

 そのためには、御社で発行している既存の普通株式を全部取得条項付種類株式に変更する必要がありますので、まず御社を種類株式発行会社へ変更することになります。したがって、株主総会の特別決議により、御社において新たに優先株式等の種類株式を発行する必要があります。
次に、既存の普通株式を全部取得条項付種類株式に変更する必要がありますが、この変更については、株式の内容についての変更になりますので、既存の普通株主からなる種類株主総会における特別決議が必要となります。

 そして、株主総会の特別決議によって、新たに発行する種類株式の払い込みを条件として、既存普通株式を全部取得条項付株式へ変更し、それと同時にすべての全部取得条項付株式を御社が取得することになります。

「種類株式の活用方法」

新会社法の施行により、多様な種類株式(普通株式と異なる内容の株式)を発行することができるようになりました。種類株式を有効に活用することにより、M&Aの有効手段としたり、敵対的買収に対する対抗策をとったり、新たな資金調達方法を実現することができるなどさまざまな活用方法が考えられます。

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桜樹法律事務所の企業法務

1980年(昭和55年)9月24日生まれ。熊本市出身。済々黌高校-九州大学法学部卒。2003年司法試験合格。2005年弁護士登録。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員。日本司法支援センター熊本地方事務局地方扶助審査副委員長。日本プロ野球選手会公認選手代理人。熊本県弁護士会野球部主将。

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