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会社を家族間の紛争に巻き込まないために

北野 誠| 2014年 1月号掲載

 当社は、私が一代で創業した株式会社です。私には3人の息子がおり、私の引退後には三男を後継者として社長を引き継がせたいと考えております。しかし、私の資産は当社の株式以外には特に見るべきものはないため、長男・次男にも株式を分けようと考えております。私の死後に兄弟間での紛争で会社を駄目にしないような良い方法がありませんか?

 創業社長が一代で大きくした非公開の中小企業では、創業社長が引退した後の事業承継について非常に苦労されるという話をよくお聞きします。

 これは、株式会社では、保有している株式の多数決により会社役員や会社の基本的事項を決定するという建前になっており、考え方や利害が異なる人間に株式が分散すると、あらゆる事項において意見が対立し衝突が顕在化してしまうからです。

 したがって、兄弟3名に平等に株式を譲り渡してしまうと、兄弟間の対立が、会社を巻き込んだ紛争に発展してしまい、会社の存立さえ危ぶまれるケースも出てきます。

 また、特定の後継者のみに全株式を相続させるなどの方法も考えられますが、会社の株式以外に財産があまりない場合などには、相続開始後に遺留分減殺請求権を行使されるなど、新たな紛争を招いたり、結果的に思い通りの株主構成にならず事業承継に失敗してしまうこともあります。

 この点、相続人が複数人いる場合で、後継者へ株式を集中させたいけれど、財産がそれほどないために他の相続人の遺留分を侵害し、相続開始後に紛争が予想される場合などには、後継者以外の相続人に議決権制限株式を贈与又は相続させることで後継者へ株式を集中させることといった方法が考えられます。

 ここで、議決権制限株式とは、株主総会において議決権を行使することができる事項につき異なる定めをした種類株式のことをいい、定款において議決権を行使できる事項及び議決権行使の条件を定めるとされています。

 そこで、御社としては、定款変更の特別決議により、御社が発行している普通株式の一部を議決権制限株式に定款変更をして、遺言等により後継者である三男のみに議決権付株式を相続させ、長男・次男には議決権制限株式を相続させるという方法を用いることが考えられます。 

 また、非公開会社においては、株主の権利について、株主ごとに不平等に定めたり、代償措置として他の株主の配当を多くすることも可能ですので、長男・次男へは配当の多い株式を相続させるといった方法もあります。

 但し、遺留分の算定にあたり議決権制限株式等の種類株式の評価についは難しい問題もありますので、遺留分との関係では専門家と相談の上、十分な検討が必要となります。

「議決権制限株式」

議決権制限株式の発行は、事業承継の場面だけでなく、資金調達(ファイナンス)の面でも有効な手法となります。従来の株主構成(支配関係)に変動を与えず、新たな資金調達が可能となるなどのメリットがあります。

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桜樹法律事務所の企業法務

1980年(昭和55年)9月24日生まれ。熊本市出身。済々黌高校-九州大学法学部卒。2003年司法試験合格。2005年弁護士登録。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員。日本司法支援センター熊本地方事務局地方扶助審査副委員長。日本プロ野球選手会公認選手代理人。熊本県弁護士会野球部主将。

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