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民事再生の場合

民事再生の場合

手形を振り出している場合、二度目の不渡りを出すことで、銀行取引停止処分となります。

銀行取引停止処分になることで、銀行取引が不可能となり、会社の事業継続はほぼ不可能となります。

しかし、一度目の不渡りであればまだ何とかなるというわけでもありません。事業活動は信用が第一であり、一度でも手形を不渡りにすると、取引先・銀行の信用を失ってしまい、事業活動を継続することは極めて困難な事態に陥ります。

そのため、資金繰りが苦しくなった会社の経営者の方は、手形決済日に向けて、金策に走ることになります。ただ、毎月のように手形の決済金のために資金繰りを続ける自転車操業状態に陥ると、経営の再建はなかなか容易ではありません。そこで、民事再生手続を行うことを視野にいれてみてはいかがでしょうか。

民事再生手続による会社の再建

民事再生手続は、例えば、債権者の同意を条件に債務の85%程度をカットし、カット後の債務を10年間の元本延払いをする等の方法で、債務弁済の額・方法を大幅に緩和することが可能となります。

ただ、多くの中小企業でそうであるように経営者は会社の債務の保証人になっていることが多く、その経営者の保証債務が減額されることはありません。このため、経営者自身の借金の整理も必要となることが多く、この場合、経営者としてはどうしても手続をとることに躊躇してしまいます。

しかし、仮に経営者の個人資産が全てなくなった場合でも、会社が存続することで、人生の再出発も可能となります。資金繰りに完全に行き詰まり、自己破産や事実上の廃業状態になってしまうと、経営者も再就職先を探さなければなりませんが、経済情勢・年齢等から再就職が困難な場合が多いのではないでしょうか。

会社の経営を民事再生手続で立て直すことで、会社の従業員の雇用を維持するだけでなく、自身の失業も回避し、生活を立て直すことが可能になります。

受任後の民事再生手続の進行

弁護士が民事再生手続を受任した場合、手形決済期日付近を申立日と想定して、裁判所から弁済禁止の保全処分を得る準備を始めます。弁済禁止の保全処分とは、会社が取引先への支払いを禁止するという裁判所からの命令で、手形もこの命令により決済できないことになり、手形不渡りを回避することが可能となります。

事業を廃止する破産申立と異なり、民事再生は裁判所への申立後も事業を継続するため、保全処分がでるまでは、極秘に準備する必要があります。民事再生手続をとることを外部に公表した場合、債権者等が会社に押し寄せたり、問い合わせの電話が殺到することになります。

しかし、申立直後の混乱状態に対する対応は弁護士がサポートしますし、債権者説明会を開催するなどして、弁護士が民事再生手続について説明をいたします。これら申立直後の弁護士のサポートにより、混乱状態が収束することが通常です。

そして、再生計画による弁済が始まるまでは、申立前の債務は一時的に弁済をしなくてよくなるため、会社の資金繰りは大幅に改善することになります。申立直後には現金決済を要求されることも多いのですが、資金繰りが改善し、新規取引の代金支払いを確実に行えば、一時的に失った取引先や顧客等の信頼も回復することが見込めます。

そうなれば、後は裁判所の手続にそって、事業再建の道筋を固めて、事業継続に専念することが可能となります。
まずは、弁護士に相談し、会社の置かれた客観的な状況の把握ととりうる手段を検討されることをお薦めまします。

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