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Q:建築関係の会社ですが、当社の請負契約書には「契約を解除し た場合、その理由・時期を問わず、請負代金の20%の違約金を支払う」との条項があります。消費者である契約者からこの条項は おかしいとクレームを受けましたが、何か規制があるのですか。
A:本来、契約は「当事者が合意すれば有効である」が大原則です。しかし、企業消費者間の契約においては情報や交渉力に格差があることから消費者保護のため法律上、種々の制限がなされています。
一般社会での取り扱いと、法律上・裁判上の取り扱いが異なっている典型例は家屋賃貸借契約に おける修繕費の負担です。一般的な賃貸借契約書には退去時の修繕費用は借主が負担すると規足され、退去時には敷金から補修費用を差し引いて返金されることがありますが、裁判上の取り扱いは異なっており、最近、最高裁判所も「修繕費は原則貸主負担」とする判決を言い渡しました。
2001年4月から消費者契約法という法律が施行されています。この中では、消費者と事業者間の契約において「契約が解除される場合に消費者が支払う金額を予め定める場合、事業者に生ずる平均的損害の額を超える金額を支払うと定めたものは、その部分は無効である」と 規定されています。解約のぺナルティとして高額な違約金を規定したとしても、事業者に通常生ずる損害以上の金額を消費者に請求することはできないことになります。実際どの部分が無効とされるかはケースバイケースでしょうが、「解除時期にかかわらず、代金全額を支払っている場合でも一切返金しない」 というような条項 は、無効とされる部分が大きいと考えられます。実際の裁判においても「建築業者が建物工事請負契約を工事開始前に解除した消費者に対し、『請負金の20%に相当する額の違約金を支払う』 との契約条項に基づき違約金の支払いを求めた事案」 において、平均的損害を超える部分と違約金条項は無効とされたものがあります。このように新しい法律では、消費者の権利が保護されており、事業者側はこの点に十分配慮する必要があります。10年、20年前の契約書を漫然と使っていると、消費者側からクレームを受けるだけでなく、企業としての社会的評価を下げることにもつながり かねません。企業の法令遵守(コンプライアンス)を意識する必要があるでしょう。
2001年4月から施行されている消費者契約法において、事業者・消費者間の契約における解除の場合の違約金条項は事業者における平均的損害以上の部分は無効とされています。
Q:私が経営する株式会社は一代でここまで大きくしましたが、そろそろ後継者に経営を委ね引退しようと考えています。どのような方法がありますか。また、どのような点に気を付ければいいですか。
A:自分自身で立ち上げ、大きく育ててきた会社の経営を自分以外の者に譲ることはとても大きな決断です。いつまでも経営者でいることはできませんから事業承継はいつか直面する間題です。ただ、重大な問題だからといって先延ばしにすれば手遅れになる事態もあり得ます。会社のさらなる繁栄のため、従業貞の生活のためにも、現在の経営者が適切な時期に計画的に適切な手続をとる必要があります。そして、事業承継は経営者であるあなた以外の人が言い出しにくい間題でしょうから、経営者であるあなたが決断しなければならない間題です。
事業承継を考えた場合、大きな問題は後継者を誰にするかという間題です。一般的に多いのは、相続人となる者の誰かを後継者とすることでしょう。ただ、適任者がいない場合もあるでしょうし、複数の相続人がいる場合、相続人間の争いを招き、骨肉の争いの火種となることもあり得ます。親族を後継者とする場合、関係者への根回しはもちろん、候補者の教育は当然必要です。また、後継者へ株式等の事業用資産を譲渡する必要がありますが、これを生前贈与や遺言によって行う場合、他の相続人の遺留分も考慮した上で、後継者への株式の集中をどのように図るかという難しい間題もあります。生前贈与の場合は、相続時清算課税制度等を利用することも考えた方がいいでしょう。
親族内に適任者がいない場合、従業員の中から後継者を捜す場合もあります。ただ、この場合も関係者の理解が必要ですし、その後の経営のためには後継者にある程度の株式を集中させることも必要になります。また、金融機関からの会社の借入について、現在の経営者であるあなたが個人保証しているでしょうから、これらの処理も必要となります。
親族内にも社内にも後継候補者がいない場合は、会社の売却も考える必要があります。M&Aを行うにあたっては、自社の評価を高める必要もありますし、従業員対策も必要となります。そして、何よりも法的に問題のない手続を踏む必
要がありますから弁護士等の専門家に十分相談する必要があるでしょう。
事業承継に失敗すれば、会社の経営が悪化したり、社内に紛争が起こったりする原因ともなり得ます。適切な時期に、適切な対処が必要です。
Q:10数年前に数人で出資して株式会社を設立しました。株式譲渡制限をした上で私が代表取締役となり経営を行ってきましたが、最近、出資者の一人が亡くなりました。相続人の息子さんは少し問題がある人物のようです。経営への悪影響を心配していますが、対策はありませんか。
A:株式は、自由に譲渡することができるのが原則ですが、会社の経営に好ましくない者が株主になることを防止するために、株式の譲渡制限という制度があります。
株式の譲渡制限とは、その旨定款に定めておけば、承認機関の承認がなければ、会社に対し譲渡の有効を主張できないという制度です。問題のある人物が株主とならないように、このような定めを定款に置いている企業は少なくなく、特に中小企業には多く見られます。
ただ株式譲渡制限は、売買などによる譲渡を制限するに過ぎず、相続による移転を制限することはできません。出資者の誰かが死亡し会社にとって好ましくない人物が相続した場合は、その相続人が株主となり、少なからず会社の経営に影響を与えることになります。
例えば1%以上の議決権を有する株主は株主総会における議案提案権を持ち、3%以上を有すれば会計帳簿閲覧請求権や取締役監査役の解任請求権(もちろん実際に解任できるかどうかは別です)を持つことになります。
株式譲渡制限条項によっては、相続による移転を制限できなかったことから、会社法はそれとは別に、相続により譲渡制限株式を取得した者に対し、会社からの売渡請求権を認めました。会社はこの売渡請求権を行使することによって、好ましくない相続人の強制排除が可能になります。
売渡請求権の行使には、会社の定款において譲渡制限の定めとは別に、会社が相続などによる譲渡制限株式の取得者に対し、当該株式を会社に売り渡すことを請求できる旨を定めることが必要です。その上で、実際に相続が発生した場合、売渡請求権の行使の都度、株主総会の特別決議によって、請求対象となる株式の種類や数、取得者の氏名や名称を定めることが必要です。
さらに会社は、相続などがあったことを知った日から1年を経過するまでに、請求にかかる株式の種類及び数を明らかにして、取得者に対し売渡請求権を行使する必要があります。この場合、株式の売買価格は当事者の協議によるか、または当事者による裁判所への申し立てに基づく裁判所の決定により定められます。
株式の譲渡制限をしていても、会社にとって好ましくない者が相続によって株主になることを防止できません。話し合いによる解決が困難な場合でも、会社が強制的にその株式を取得することができ、強力な手ります。