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Q:内定後に、性格が陰湿であることを理由にしたり、事前研修の欠席を理由に内定を取 り消しても会社は責任を負わなくてもいいのですか。
A:わが国では新規学卒者を在学中に採用し、卒業後に入社させるという採用方法が採 られていますが、正式入社前の者を採用内定者と呼んでいます。これらの人達との労働契約は、契約の成立時期は別として雇うという約束自体は既になされていますが、 現実に就労が始まるのは一定の期間を経過した後という始期が付けられており、一定 の事由に該当した場合には解約できるという解約権も留保されていると考えられてい ます。
では事前研修の欠席の場合はどうでしょうか。この場合には労働契約がいつから成
立するのかが問題になります。単に電話等で内定の通知をしているだけで正式採用決
定手続が残されている場合には労働契約は成立していないと考えられ、事前に説明し
て学生の了解を得ていない限り、事前研修を義務付けることは出来ず、それを欠席さ
れたからといって内定を取り消すことはできません。
これに対して内定通知の後に必要書類の提出や入社日の通知等がなされていれば、労働契約は効力を生じていますから、事前研修を義務付けることは可能です。しかし、
この場合でも、出席拒否に対して常に内定取消が可能という訳ではありません。例え
ば、学生が学業への支障等という合理的な理由に基づき、事前研修への参加を免除し
て欲しいと申し出があった場合には、これを免除すべき信義則上の義務を会社は負っ
ており、内定取消は出来ないとされています。
次に、性格が陰湿であることを理由に内定取消が出来るかを考えてみますと、採用 内定というのは一定の事由に該当する場合には解約できるとされていますが、その事 由というのは内定当時知ることができないか、または知ることが期待できない事実で あり、かつ、内定取消が社会通念上相当と認められることが必要と考えられていま す。そうしますと、性格が陰湿であるということは、採用内定当時から分かっていた あるいは分かることが出来たと考えられますので、内定取消は認められないことにな ります。
内々の決定ということで安易に内定取消を行うことは危険です。裁判所は企業側から の恣意的な内定取消には厳しい態度を取っています。
Q:3カ月の試用期間中にミスを多発したため、試用期間を延長したのですが、結局本人の勤務態度が改まらなかったので解雇したいと思います。問題はありませんか。
A:最初の試用期間中に本人の不適格性が明らとなれば、試用期間を延長することなく本採用を拒否すべきです。そして試用期間の延長は、本人の許諾がある場合を除いて使用者が一方的にできるものではなく、@試用期間の延長について明文の就業規則等がある場合A長年にわたって会社の慣行として試用用期間の延長の制度がある場合B本人の適格性に疑問があり、その採否に関してしばらく本人の勤務態度を観察する期間の必要性につき合理的理由のある場合に限り許されるとされています。
さらに試用期間を延長するにしても必ず期間を限ることが必要です。期間を定めずに試用期間の延長を認めるということは、何回も延長を認めることになり、解雇保護規定の趣旨から許されません。以上の条件に照らし、試用期間の延長が認められない場合には、既に試用期間は経過しているので、通常の雇用関係が成立し、通常の解雇と同一に論じられ、正当な理由が認められない限り解雇は認められないことになります。
それに対して、試用期間の延長が認められる場合は、通常の解雇より広い範囲の解雇の自由が認められます。しかし、その場合でも試用期間の制度(解雇権の留保)趣旨に照らせば、使用者が採用決定後の調査により、または試用期間中の勤務状態等により、当初は知ることができず、または知ることが期待できないような事実を知るに至った場合にその者を会社に雇用するのは適当でないと判断するのが、試用期間(解雇権の留保)の趣旨・目的に照らして客観的に相当と認められることが必要です。その程度に至らない場合には、解雇権を行使することは出来ないと考えられています。なお、試用期間(解雇権の留保)の趣旨・目的は、従業員の適格性判定期間であるとともに、教育期間でもあると言われています。従って、不適格を理由に解雇する場合にも、「よく教えたが駄目でした」 という場合でなければ、本採用拒否の正当性は認められませんので注意が必要です。
試用期間に不適格を理由に解雇する場合にも、「よく教えたが駄目でした」という場合でなければ、本採用拒否の正当性は認められないことも注意してください。
Q:職安に求人票を出し採用した所、労働条件について会社と本人との認識が違っていた場合、求人票の記載に会社は拘束されますか?
A:募集条件の内容と応募者との間で取り決めた労働条件の内容が異なった場合に改めて文書を交付したり、労働契約書を作成することが少ないため、後日問題になることがあります。
本来ありもしない好条件をちらつかせて労働者を勧誘し、実際にはひどい労働条件を労働者に強いるという弊害を除くために労働条件明示義務が公法上の義務として定められていることや、また、求人者が求人票に労働条件を明示する際それが契約内容となることを前提としており、求職者も求人者と同様の期待を有しているので、公共職業安定所の紹介で成立した労働条件の場合、当事者間でその条件を明確に変更し、これと異なる合意をするなどの特段の事情がない限り労働契約の内容になると考えられます。
実際の裁判でも、給料の額について求人票記載の額と異なる額の合意がなされたか否かが争われたケースでは、「求人票に記載された基本給額は見込額であり、文章上でも、最低額の支給を保証したわけでもなく、将来入社時までに確保されることが予定された目標としての額と解すべきであり、」 として、法的拘束力を否定しています。
しかし、求職者は求人票の記載を信用して、労働契約の申し込みを行うものですから、その記載内容を変更するということは、他により良い条件で就職することが出来たかもしれない求職者の権利を奪うことにもなりかねません。 この様な求職者の権利を侵害すると判断される場合には信義則に違反し損害賠償が生じる場合があるとされています。また、求人票に退職金ありとか退職金共済に加入と記載し、2年務めたら3年目から退職金が出ると述べて採用した事案では、中退金制度に加入すれば支給されたであろう最下限の金額の支払いが裁判例でも認められています。使用者には、雇用契約締結時の労働条件の明示義務がありますので、求人票と異なった労働条件を合意した上きには書面交付による条件明示や雇用契約書の作成が後のトラブルを避けるために必要です。
求人票と労働条件が異なるときは、すべて書面交付による条件明示や雇用契約書を作成して、後のトラブルを避けましょう。
Q:今回就業規則を制定しようと考えています。労働者の過半数を代表する着から意見を聞く必要があるそうですが、代表者はどの様にして選ぶのですか。
A:就業規則を制定するにあたり、「労働者の過半数を代表する労働組合」がある場合にはその労働組合の、その様な労働組合がない場合には「労働者の過半数を代表する者」の意見を聞く事が必要とされています。そして、質問では労働組合がないということを前提としていると思われ達すので、確かに「労働者の過半数を代表する者」を選出することが必要になります。その際、代表者の選出が煩わしいということで、例えば従業の過半数からなる親睦会がある場合に、その役員を「労働者の過半数を代表する者」として意見を聞くということが見受けられます。しかし、「労働者の過半数を代表する者」とは、「意見を聞かれる者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法で選出された着であること」とされていますので、従業員の親睦会の役員の意見を聴取した就業規則の制定は結局労働者側の意見を聞かないで制定されたものとなります。
ところで、「労働者の過半数を代表する者」という場合の「労働者」と言うのは事業場に使用されている全ての労働者を意味しますので、管理職手当又は役職手当などの支給を受け時間外などの割増賃金が支給されない者も労働者の範囲に含まれます。しかし、労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)2号に規定されている監督又は管理の地位にある者は「代表する者」にはなれませんので注意して下さい。
それでは、パートタイマー専用の就業規則を制定する場合はどうでしょうか。この場合には、一般従業員用とパートタイマー用と形式上は2つの就業規則がありますが、その2つを合わせたものが事業場の就業規則になりますので、パートタイマーを含めた全従業員の過半数を代表する者の意見を聞けば足りることになります。パートタイマーの過半数を代表する者の意見を聞けば足りるというものではありません。もっともパートタイマーの過半数を代表する者の意見を聞くことはかまいませんし、パート労働法も意見を聞くよう努めるものと定めています。
就業規則を制定する際に従業員の親睦団体が労働者の過半数を超えているからといってその代表者の意見聴取で済ませることは出来ません。
Q当社では、パート社員用の就業規則には雇用期間の定めがあるということで、定年制の定めを設けておりませんが、問題ありませんか。
A:正社員用の就業規則では60歳定年制が定められいますが、パート社員用の就業規則では「雇用期間の定め」があるということで定年制が定められていない場合に、パート社員の雇用期間の定めが効力を失った時にはパート社員の定年はどの様に考えればいいのでしょうか。
まず、パート社員との雇用契約を反復更新しているときは、それだけで当然に雇用期間の定めが効力を失い、「期間の定めのない契約」に転化(変化)して、雇用期間の点で正社員と同じように扱われるというものではないということに注意して下さい。あくまで、「期間の定めのない契約」に転化(変化)するのは、パート社員が契約更新について相当程度に合理的な期待を持ち、会社の方で更新を拒絶することに正当な理由がない場合でなければなりません。従いまして、契約更新の都度、会社とパート社員の間ではっきり意思を確認し、契約期間を明確に定めた契約書に記名・押印するなど、適切な手続を経ていれば、「期間の定めのない契約」に転化(変化)することはありません。この場合には雇用期間の定めは有効なものとして、期間満了による雇い止めは認められますので、パート社員の定年という問題は生じません。
しかし、その様な手続を経ていない場合には、「期間の定めのない契約」に転化していると考えられ、期間満了による雇い止めは認められないことになります。しかも、パート社員用の就業規則では定年制は定められていないので、この場合にはパート社員の定年をどう考えるかという問題が生じてきます。正社員の就業規則を適用できるかどうかという問題になるのですが、この点につきましては、正社員の定年制が直ちにパートに適用されるものではないが、正社員の定年が60歳で、当然には再雇用が認められないことを考慮すれば、パート社員について60歳まで契約更新の蓋然性は認められるものの、それ以上の契約存続の蓋然性は認められないとして実質的に正社員の就業規則の適用を認めた判例が見受けられます。
しかし、実務的には、パート社員の定年も明確に定めておくべきです。
正社員と同じに扱われるとすれば,正社員の定年までしか契約更新は認められず、実質的には正社員の定年制が適用されます。
Q:早期退職優遇制度の採用を考えています。その際、成績が低迷する社員が応募してくれるのはありがたいのですが、優秀な社員が応募してきたのでは困ります。何とか優秀な社員の早斯退職を思いとどまらせる方法はありませんか。
A:就業規則は「合理性が認められる範囲内で」、労働条件と職場規律を集合的、画一的、統一的に定めたものとして労働者に対し明示することにより法規範として労働者を拘束するに至るもので、しかも、使用者が一方的に作成し、変更早期退職優遇制度の下で優秀な社員の退職を思いとどまらせるためには、同制度の適用は会社が認めた者に限るという条項を入れることが効果的です。
Q:当社では、定年延長に伴い給与に問する就業規則の見直しをしたいのですが、どの様な手続で行えばいいのでしょうか。
A:就業規則を従業員にとって不利益に変更する場合でも、@変更理由の合理性、A変更手続の合理性、B不利益の内容・程度の合理性、C適用上の合理性、D不利益の緩和・代替措置の状況、E社会的相当性等について総合的に判断し、それが合理的であれば従業員の同意が得られなくても就業規則の見直しも可能です。
このことを定年延長に基づく賃金の切り下げを例にとって説明しますと、@の「変更理由の合理性」というのは、定年延長になれば人件費が増大し、人事の停滞等も生じますので、これらの事態に対応する必要性が生じてきます。そして、経営効率や収益力の改善も余り期待できない状況下では、賃金を切り下げることについて合理性が認められるということです。次に、Aの「変更手続の合理性」というのは、少なくとも半年ぐらいの期間をかけて労働組合との団体交渉や、従業員全員を相手に説明,意見交換、討論を行うことが必要ということです。この場合、従業員の意見が合理的であればその意見を聞き入れる度量も求められます。また、Bの「不利益の内容・程度の合理性」というのは、不利益変更はやむを得ないとしても、出来るだけその不利益の程度を必要最小限にしなければなりません。全従業員の賃金体系を抜本的に改めるのではなく、従前の定年以降の分について、賞与や種々の手当をカットあるいは減額するなどの方法で対応できるのであればその限度に止めるべきです。さらに、Cの「適用上の合理性」とは、現実には組合役員や組合活動に熱心な従業員の賃金のみが切り下げられるということは認められないということです。そして、Dの「不利益の綬和・代替措置の状況」というのは、従業員の賃金が一律に切り下げられるのではなく、特定の層の従業員の賃金が切り下げられる場合には、一部の人のみが不利益を被るのでその不利益を補う措置が必要であるということです。例えば、従前の支給額との差額を調整手当として一定期間支給するとか、新たな職能あるいは職責制度を導入し従前の支給額との差額を埋める機会を与えることが求められます。最後に、Eの「社会的相当性」ですが、賃金の減額に見合う労働の減少が生じる場合や、減額後の賃金が他の同業他社や社会一般の賃金と比較してなお高い場合には社会的相当性が認められることになります。
★キーワード「就業規則の不利益変更」
不利益に変更する場合には、その不利益を従業員に強いることが認められるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合に限り可能です。
Q:定期昇給やベースアップは必ずしなければなりませんか。また、毎年賞与を支給している場合には賞与も必ず支給しなければなりませんか。
A:使用者が定期昇給やベースアップを義務付けられるのは、就業規則や労働協約で具体的にアップ金額や率等が設定されているときです。単に、「毎年4月1日に定期昇給させる。」とされている場合には、使用者に定昇義務はあるのですが、その義務は抽象的な義務に過ぎず、金額を使用者が決めない限り、労働者は使用者に定昇を前提とした金額を請求することは出釆ません。さらに、「定期昇給させることがある。」とされている場合には、抽象的な義務ですらなく、単なる努力規定にすぎないとされています。この様な場合には使用者に具体的義務はなく、「定昇やベアの凍結」は可能です。
次に、賞与とは、定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるもので、その支給額が予め確定されていないものをいいます。定期的に支給されかつその支給額が確定しているものは、名称の如何を問わず賞与とはみなされません。そして、この意味での賞与の支給義務の有無も、就業規則等の定め方によります。「毎年6月と12月に賞与を支給する。」とされている場合には、使用者の義務は抽象的な義務に過ぎませんし、「毎年6月と12月に賞与を支給することがある。」という定めにとどまっている場合には、単なる努力規定ですので、いずれの場合にも労働者はこの様な規定を根拠に賞与を請求することは出来ません。但し、従釆から引き続き毎年6月と12月に賞与を支給してきた場合には、それらの事実も踏まえて、使用者に具体的な義務が生じるのではないかという事が間題となります。しかし、この点については、業績がいかに悪くても賞与を支給するというものでない限りは、たまたま好業績が続いたので支給してきたにすぎない場合として具体的な義務にはなりませんし、また、従前前年度実績を下回らない額が支給されてきた場合でも、それだけでは具体的な義務にはならないと考えられています。
★キーワード「定昇等と就業規則等の内容」
定期昇給、ぺ−スアツプあるいは賞与の支給を使用者が義務付けられるのは、就業規則や労働協約で具体的にその金額や率等が設定されている場合です。
Q:就業規則等で賞与に関し支給日在籍要件が定められていますが、必要ですか。また、支給日以降の退職予定者への対応策はありませんか。
A:会社では、賞与の算定対象期間が経過して1〜2ケ月後に賞与が支給されますので、賞与の算定対象期間に在籍した人が、賞与の支払日には退職しているというケースも生じます。
月給の場合には支払日に会社に在籍していなくても、月給を受け取れますが、賞与について就業規則等で支給日在籍という要件が定められている場合、支給日に在籍していない従業員は賞与を受け取れません。このような結果は、賞与は勤務時間に対する直接的な対価ではなく勤務成績に応じて支給される包括的な対価であるとか、金額が予め確定していないものであるとか、賞与が将来の勤務への期待を反映するものであるという理由で合理的であるとされています。
では、賞与の支給日在籍要件が就業規則等で定められていない場合はどうでしょうか。就業規則等で明文化されていなくても、ある取扱いが、同一の基準に基づき反復、継続して行われており、合理的なものであれば、従業員がその事を知って従ってきたかどうかを問わず、その取扱いは事実たる慣習として従業員を拘束します。賞与についても、従来支給日に在籍していた従業員に賞与が支給されていた場合は、支給日在籍要件は合理的なものであり、事実たる慣習として、支給日に在籍していない従業員は請求できません。
それでは、賞与が将来の勤務への期待を反映するものであることから、支給日以降に退職を予定している従業貞について、その賞与を減額する規定を設けることは可能でしょうか。この点について実際に裁判で争われましたが、裁判所は、支給日に在籍した者であっても、退職を予定している者と退職を予定していない者の賞与額に差を設けることは不合理ではないと判断したものの、将来退職が予定されていても、退職を予定していない人の8割を受け取る権利はあると判断しました。8割という数字はその事件の事情に基づくもので一般化することは出来ませんが、裁判所は少なくとも賞与の額について無制限なカットは認めていないこと
を注意すべきです。
★キーワード「賞与の支給日在籍要件」
賞与の支給日在籍要件は成文化を。また、支給日以降の退職予定者に対する減額は一定の限度では可能です。
Q:最近、女性社員から家族手当の申請の相談が増えていますが、男女差別にならないようにするためにはどのように対応すればいいですか。
A:家族手当を支給するにあたり、「主たる生計維持者か否か」 「配偶者の収入が一定額以内か否か」 という2つの基準を併用する会社が多く、「配偶者の収入が一定額以内か否か」 という基準は家族手当が生酒補助費的性質を有することから定められたもので、女性差別としては「主たる生計維持者か否か」が問題とされてきました。
では、「主たる生計維持者」を男女を問わず、「配偶者がいる場合」とすれば問題ないのでしょうか。この点について、女性に対する結婚の強制、或いは独身者差別として、裁判が提起されたことがあります。裁判所は、「具体的な労働の対価でない手当について、その支給要件を定めるにあたり画一的な基準を定めざるをえず、その支給要件を定めた経緯を見ても、その動機、目的及び手続に不当な点は認められない。」 と判断して、婚姻しているか否かを基準とすることは不当でないとしています。しかし、この定め方ですと、夫又は妻のいずれを家族手当の受給権者とするのかという問題が残ります。次に、「主たる生計維持者」 を 「扶養家族を有する世帯主」 と定めたらどうでしょうか。家族手当は生活補助費的性質が強いものですから、その受給権者を一家の生計の主たる担い手とすることには合理的な理由があり、世帯主が生計の主たる担い手であることが多いという社会の実態にもー応沿うものです。しかし、この様な定め方ですと、共働きの場合には一家の生計を夫婦で担っているので、生計の主たる担い手をどちらと判断するのかという問題が残ります。では、「主たる生計維持者」 或いは 「世帯主」を 「夫又は妻のいずれか収入の多い方」 とすることはどうでしょうか。この様な取扱いについても、家族手当の受給権者を夫又は妻のいずれか収入の多い方とするのは実質的に女性差別であるとして裁判が提起されました。しかし、裁判所は、「夫または妻のいずれか収入の多い方」 という基準設定について、「一家の生計の主たる担い手が何人であるかを判定する具体的運用としては明確かつ」義的であるから不当ではない。」 と判断しています。
★キーワード「家族手当の支給と男女差別」
家族手当の受給権者を決める場合に,婚姻している夫婦或いは夫婦共働きの場合を想定して収入の多い方とする基準を採用しても男女差別にはあたりません。