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妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いとハラスメント

馬場 啓| 2017年 10月号掲載

 妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いは法律で禁止されていると聞きました。どのようなものが「不利益取扱い」にあたるのでしょうか。また、この「不利益取扱い」とマタハラ等の「ハラスメント」はどのように違うのでしょうか?

 男女雇用機会均等法は、事業主に対し、女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等を理由として不利益な取扱いをすることを禁止しています。

 また、育児・介護休業法は、事業主に対し、労働者(男女を問いません)が育児・介護休業等の申出をし、又は育児・介護休業等をしたことを理由として不利益な取扱いをすることを禁止しています。

 どのようなものが「不利益取扱い」にあたるかについては、厚生労働省が指針を示しており、これによれば、解雇や降格をすることはもちろん、減給又は賞与等において不利益な算定をすること、昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと、不利益な配置変更を行うこと等も「不利益取扱い」の例とされています。

 この「不利益取扱い」が事業主自ら行うものであるのに対し、「ハラスメント」は上司・同僚による就業環境を害する行為であると整理されます。例えば、産前休業の取得について上司に相談したら「次の査定では昇進しないと思え」と言われた、介護休業を請求する旨を周囲に伝えたら同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべきだ」と強く反対された、妊娠したところ、上司・同僚から「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し言われて仕事をさせてもらえない等がその典型例です。

 事業主は自らが不利益取扱いを行わないのはもちろんとして、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止する必要があるとされ、平成29年1月の改正男女雇用機会均等法及び改正育児・介護休業法では、事業主に対し、職場における妊娠・出産・育児休業等に関する言動により就業環境を害されることを防止する措置を講じることが新たに義務付けられました。これに基づき厚生労働大臣が定めた指針では、①ハラスメント行為者については厳正に対処する旨の方針・対処の内容等についての事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、②相談・苦情に応じ適切に対応するために必要な体制の整備、③職場における妊娠・出産・育児休業にかかる事後の迅速かつ適切な対応、④職場における妊娠・出産・育児休業に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置等を義務付けています。

御社でも以上に沿った制度や就業規則の整備が必要ですので、一度、ご検討されることをお勧めします。

「ハラスメント防止措置の義務付け」

妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止のほか、平成29年1月の法改正で事業者にハラスメント防止措置が義務付けられた

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桜樹法律事務所の企業法務

熊本市出身、1960(昭和35)年6月21日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。95年弁護士登録。2015年度熊本県弁護士会会長、熊本大学法科大学院教授、熊本市情報公開・個人情報保護審議会委員。

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