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保証に関するルールが変わります

馬場 啓| 2018年 9月号掲載

当社は、今般、商品の販路拡大のため、A社との間で商品取引等基本契約を結び、同社に継続的に商品を販売していくことにしました。ただ、A社は設立して間もないベンチャー企業ですので、代金債権の保全のため、A社の関係者で信用性のある人を連帯保証人に立ててもらおうと考えています。この保証契約を結ぶにあたっては、どのような点に注意する必要があるでしょうか。

 お考えの保証契約は、商品取引等基本契約という一定の範囲に属する不特定の債務について保証するものであり、根保証契約になります。

 根保証契約では保証人が想定外の責任を負うことになる危険があるため、民法は、特に主債務に貸金等債務が含まれる根保証契約について、保証人保護のために、極度額(上限)の定めがない個人の根保証契約は無効としています。そこで、貴社とA社との間の商品取引等基本契約にA社に対する貸付等が含まれているのであれば、保証人が責任を負う極度額(上限)を定めておく必要があります。もっとも、これはA社の代表取締役等の「個人」が保証人になる場合の要件ですので、A社の関連会社等の「法人」が保証人になる場合には不要です。

 現時点で保証契約を締結する際の注意点は以上のとおりですが、実は、2020年4月1日から施行されることになっている改正民法では、保証に関するルールが大きく変わり、主債務に貸金等債務が含まれない場合であっても極度額(上限)の定めのない個人の根保証契約は無効とされ、また、個人が保証人になる根保証契約については、保証人が破産したときや、主債務者又は保証人が亡くなったとき等は、その後に発生する主債務は保証の対象外となります。

 さらに、法人や個人事業主が事業用の融資を受ける場合に、その事業に関与していない第三者が安易に保証人になって多額の保証債務を負担することがないようにするために、個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には、公証人による保証意思の確認を経なければならないこととされています。貴社とA社との間の商品取引等基本契約に貸付等(事業用の融資)が含まれているのであればこの適用を受けます。そこで、この場合は、公証人役場に行って、公証人による保証意思の確認を受けなければなりません。ただし、保証人になろうとするのが単なる関係者ではなく、A社の代表取締役、取締役又は議決権の過半数を有する株主等、A社の経営者といっていいような場合には、この手続は不要です。これに対し、A社の保証人になろうとするのが単にA社の代表者の親族や友人・知人等にすぎないような場合には、上記の公証人による保証意思確認の手続が必要です。

「根保証契約と極度額の定め」

主債務に貸金等債務が含まれる個人の根保証契約は極度額(上限)の定めがなければ無効
さらに2020年4月からは主債務に貸金等債務が含まれない場合でも無効になる


「公証人による保証意思確認」

2020年4月からは個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には、公証人による保証意思の確認を経なければならない

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桜樹法律事務所の企業法務

熊本市出身、昭和35年生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒。95年弁護士登録。2015年度熊本県弁護士会会長、熊本大学法科大学院教授、熊本市情報公開・個人情報保護審議会委員。

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